FAQ | iTシリーズ トランスミッター・シグナルコンディショナーシリーズ

ウィルコクソン・センシングテクノロジーズ社製iTトランスミッター・シグナルコンディショナーシリーズやリレーアラームを使えば、ローコストでシンプルなオンライン振動モニタリングを構築できます。ここでは、iTシリーズ トランスミッター・シグナルコンディショナーシリーズのよくある質問をご紹介します。



1. iTトランスミッター・シグナルコンディショナーとは何ですか?

iTトランスミッター・シグナルコンディショナーシリーズは、シンプルなオンライン振動モニタリング用のシグナルコンディショニングができ、連続モニタリングのためのローコストなアプローチを提供します。iTシリーズにはiTトランスミッター・シグナルコンディショナーとiTアラームが含まれます。

iTトランスミッター・シグナルコンディショナーは、従来のIEPE加速度センサーとのインターフェイスを行うシグナルコンディショニング用モジュールで、4-20mA出力信号とバッファーダイナミック信号が得られます。これにより加速度センサーとコンディショントレンド用のPLCやDCS、または同様のシステムとのインターフェイスができ、かつフロントパネルにあるBNCコネクターを経由して、より詳細な振動解析のためのダイナミック出力が得られます。

iTトランスミッター・シグナルコンディショナーはユーザー特有の要求に合うようカスタム設定で注文をすることができます。またはフロントパネルにあるイーサネットポートを経由してフィールドで構成を変更することもできます。iTトランスミッター・シグナルコンディショナーの型番はiT150番台とiT300番台となります。

2. どのような用途で使うのが適切ですか?

機械の健康状態監視プログラムが有効な用途では何にでも適しています。工場設備が製品の生産を行っていれば、オンライン機械健康状態モニタリングプログラムを通して、効率を上げることで生産性を向上させることができます。 iTシリーズが有効な業界としては、薬品、食品は飲料、醸造、水処理、石油化学、製紙、発電などで、特にポンプ、モーター、ファン、冷却塔、コンプレッサー、ギヤボックスなどで効果的に監視できます。 予知メンテナンス技術をこれらのオペレーションや機械に適用することで、メンテナンス費用を劇的に軽減することができます。

3. 用途が特殊な場合はどうすれば良いですか?

iTシリーズ製品を使用することで、カスタムの振動監視センターを構築、メンテナンスを充実させることができます。 iT150トランスミッター・シグナルコンディショナーは、使用できる予算やスペースに関係なく、各設備においてオンラインモニタリングやデータトレンド把握ができます。 オプションとして、選択可能なメトリックやインチでのフルスケール、加速度や速度、または変位での測定出力や、RMS、ピーク、P-P、真ピークの4つの出力、及び監視対象の色々な周波数範囲選定などがあります。

iT300シリーズでは、最大限のフレキシビリティをもったパラメーターをフィールドで構成できます。前述のオプションはイーサネット経由で構築し、これによりユーザーが直接マニュアル入力でき、またトランスミッター・シグナルコンディショナーの構成を試験や修正を行うことができます。iT300シリーズではまた、上位機種がModbusやアラームリレー機能を持っているのに対して、測定能力を倍増させるため第2の4-20mA信号が得られます。

4. 振動解析のためのスタッフがいませんが、iTシリーズを利用することができますか?

大規模設備でも小規模設備でも同じように連続オンラインモニタリングができます。PLCまたはDCSなど4-20mAアナログ信号が使える制御、監視システムがすでにある設備では、ユーザーのプロセス制御に振動モニタリングの利点を活かすためには、これらのアナログ入力チャンネルがあれば十分です。

プロセス監視システムがないプラントでは、iT301のリレー機能を活用するか、またはデータ収集器を経由してダイナミック出力をモニタリングできます。さらに、全体振動レベルのトレンド把握には複雑な解析スキルを必要としません。全体振動における継続的な増加は、通常、機械の詳細な検査が必要であることを意味します。

5. iTトランスミッター・シグナルコンディショナーは加速度だけ測定するのですか?

iTトランスミッター・シグナルコンディショナーは、注文時に選択した内容に応じて加速度、速度、または変位を測定します。iT150ではユーザーは、入力と出力のタイプを選択します。iT300シリーズでは用意された入力に基づきフィールドで構成を行えます。全モデルは単一積分(加速度信号が入力に使われた場合、加速度または速度出力のみ得られます)が行われます。

変位測定では全体的な動きが分かります。機械のフレームなどの動きの測定が必要な用途では変位トランスミッター・シグナルコンディショナーが理想です。速度を測定するトランスミッター・シグナルコンディショナーは、機械の全体的な健康状態を測定するのが一般的で、加速度測定はより高い周波数範囲でのギヤメッシュのトレンドやキャビテーション測定用に最適です。

6. iTトランスミッター・シグナルコンディショナーにはどのような出力オプションがありますか?

RMS、ピーク、ウィルコクソン社独自の真ピーク、真P-Pでの4-20mA出力があります。真ピーク検知は、最大絶対的瞬時振動を補足し保持するのが最も重要となる、短時間振動の測定には理想的です。真P-P検知は、最大全振動を補足、保持するため、変位測定用に設計されています。4-20mAループ出力信号はまた、振動信号のRMS値、または等価ピーク振動(RMSにピーク率1.414を乗じる)を表します。ピークやRMS検知は、全体振動が測定され機械の健康状態監視用に最適です。

7. iTトランスミッター・シグナルコンディショナーの特長について

メンテナンスに詳しい方は、使用目的に合うようカスタム周波数バンドでトランスミッター・シグナルコンディショナーを注文できます。iT150のプログラム周波数バンドではデジタル信号処理技術を使っており、超低ノイズパフォーマンスで動作し、センサーのパフォーマンスをモニターするためのセンサーバイアス測定を行います。これらを組み合わせることで、機械振動の読取り精度がもっとも高くなります。

iT300シリーズはフィールド構成が特長で、これによりハードウェアの修正することなしにフィールドで必要な調整を行えます。保存可能な構成ファイルで複数の構成を保存・読み込みができ、マウスでの数クリックで簡単に再プログラミングできます。

8. TBUSって何ですか?

TBUSはiTシリーズの各モジュールの背面ボードコネクターにあります。トランスミッター・シグナルコンディショナーは、TBUSへ24VDCパワーとともに、アナログとデジタル信号を供給します。トランスミッター・シグナルコンディショナーはデジタルデータのみを送り、TBUSからはデジタルデータを受け取りませんが、アラームモジュールはTBUSからデータのみ受け取り、TBUS経由でトランスミッター・シグナルコンディショナーへはデータを送りません。TBUS接続を経由してアラームモジュールはパワー供給を受けます。

9. 0~5VDC、±5VDC、または±10VDCからバイアスされる3芯 (パワー、コモン、シグナルアウト) センサーを持っていますが、これと

iTトランスミッター・シグナルコンディショナーを合わせて使えますか?

はい、もちろんです。トランスミッター・シグナルコンディショナーにはIEPE(2芯タイプ)動作から3芯動作への切り替え用ジャンパーがあります。お手持ちのセンサーのシグナルアウトを容量結合する必要がありますが、詳細はお問い合わせ下さい。

10. iTトランスミッター・シグナルコンディショナーではどのようなフィルター設定が可能ですか??

iT150とiT300シリーズは、両モデルとも一貫性を維持し信頼性の高い結果を得るためにパワーフルなデジタル信号処理技術を使っています。すべてのフィルタリング、周波数選択、サブサンプリング、及びパワー検知は、1,600ラインFFTとの組み合わせでデジタルで行われています。シグナルプロセッサーはまた、速度または変位4-20mA出力用に、入力信号の単一段階の数学的積分を行っています。

11. ダイナミック出力(BNC、TBUS、または配線プラグ) はセンサーからバイアスされるのですか?

はい、TBUS、ダイナミック出力ソケット、またはフロントパネルBNCのフォールトは、センサーからの4-20mAループ電流の測定を減じることはありません。

12. ダイナミック出力はトランスミッター・シグナルコンディショナーにACカプリングまたはDCカプリングできますか?

いいえ、ダイナミック出力は自動的にDCカプリングされます。

13. iTトランスミッター・シグナルコンディショナーの感度または内部積分はフィールドプログラミング可能ですか?

はい、iT300シリーズではそうです。感度、内部積分、周波数範囲、出力タイプ、4-20mAパラメーターはすべてイーサネット経由でフィールドプログラミング可能です。 iT150シリーズでは、これらはすべて購入時に決まりフィールドでは修正できません。

14. iTアラームの特長について

iTアラームには3つのプログラミング可能なリレー - ハイとローの設定ポイント、及びセンサーやケーブル接続に不具合が生じた際ユーザーにアラートするBOVモニターがあります。信号がユーザー設定のリミットを超えた場合に動作するよう各リレーは独立してユーザープログラム可能です。iTアラームはプロセス制御プログラムにおいて機能を追加できるようPLCやDCSネットワークに直接接続します。

各リレーは、一時的な不規則振動(例えば機械の初動時など)から来る偽アラームを避けるため、99秒間までの遅延タイマー機能を持ったプログラミング可能です。ヒステリシスレベルを設定でき、これにより振動レベルがノーマルに戻らず、アラームのセットポイント以下にドロップした場合にアラームの動作状態を保持できます。1%精度のハイとローのアラームセットポイントで、第三用に1V精度のBOVタイプアラーム付きで各リレーをプログラミングできます。

15. iTアラームモジュールは分離しているのですか?トランスミッター・シグナルコンディショナーの一部にして、モジュールをひとつにできないのですか?

もしもアラームをトランスミッター・シグナルコンディショナーと統合すると、全体のコストが高くなりユーザーに必要のない機能が付きます。また、分離したモジュールがもつ幾つかの機能があります。

i. モジュール化により幾つかのアラームがひとつの信号源で動作オフにできます。

ii. アラームはPLCやDCSにリンクすることなく、小型モーターやバルブを直接動作させることができます。iTアラームのみは、250VAC、8A抵抗または1/3馬力の誘導電動機へ切り替えることができる電力リレーを使っています。

iii. アラームを独立したユニットとして使用する場合、ウィルコクソン製LPS 4-20mA振動センサーや、温度、圧力、レベル、フロー、フォース、スピードなどの4-20mAセンサーと使用できます。

16. iT401はiTトランスミッター・シグナルコンディショナーや4-20mAセンサーと一緒に使用できるのですか?

はい、その通りです。

17. iTアラームにはデジタル表示器がありますが、何を表示させるのですか?

通常動作中は、2から25mAのミリアンプ整数でセンサーループ内の電流値を表示するよう設定できます。 また、フルスケール4-20mA入力またはトランスミッター・シグナルコンディショナー入力の0%から99%を表示するように設定できます。

18. iT Alarmアラームは何故7セグメントの表示器を使っているのですか?

視認性向上のためです。7セグメント表示器はLCD表示器より、離れた場所からでも、高温でも読取り易いためです。より高価ですが使い易さ向上のためです。

19. iTアラームは何故2桁の表示器を使っているのですか?

より桁数が多い表示器の、コスト、サイズ、また消費電力は機械的理由ですが、主な理由は表示器の精度です。4-20mA値の真の整数は大きなステップになる可能性がありますが、「パーセンテージモード」では表示器は1%の精度があります。1%ステップは0.16mA精度と等しくなります。

20. アラームには調整用のポテンショメータがありません。アラーム設定調整はどうすれば良いのですか?

フロントパネルには3つのメンブレンスイッチがありますが、これでアラーム設定にアクセス、変更を行います。またラッチリレーをリセットするためアラームを知らせます。

21. ラッチアラームはリモートで知らせることはできますか?

はい、モジュールにはドライ接点を使ったリモートのリセット用入力があります。

22. ループパワー4-20mAセンサーが利用可能な場合に何故iTトランスミッター・シグナルコンディショナーを使うのですか?

全体振動のモニタリング用にループパワーセンサーだけが必要であれば、例えばウィルコクソン社製4-20mA LPSシリーズで十分です。しかしながら、極めて低い周波数や極めて高い周波数でのモニタリングが必要であれば、広い周波数応答が可能なiTトランスミッター・シグナルコンディショナーが必要です。また、周波数スペクトルでの限られた部分での振動トレンドが必要な場合や、詳細なFFT解析用にフルスペクトルが必要な場合はトランスミッター・シグナルコンディショナーが有効です。

23. 一般的な話として、何故他の技術を使わずiTシリーズを使った方が良いのですか?

通常、4-20 mA振動モニタリングは、振動を監視した方が良いが、アクセスやメンテナンスの頻度が低い場合に使われます。 iTトランスミッター・シグナルコンディショナーは振動監視設備インストール用のオプションで、トランスミッター・シグナルコンディショナーは詳細な振動スペクトル解析用に加速度計のフルバンド幅へのアクセスを保存しながら、単純化したモニタリング用に4-20mA信号の使用が可能です。 iTアラームではローカルアラームやシャットダウンを行うことができます。iT401がインテリジェントトランスミッターとして、もしくは4-20mAセンサーとして使用できることで、ユーザーにより広い選択肢を提供しています。

アラーム用に振動及びプロセス変化を活用した監視系システムを構築できます。多くのプラントプロセスではすでにアナログ入力チャンネルを利用したコンピューター処理が行われています。数個のアナログチャンネルを追加するだけで相当なコストが発生しますが、iTトランスミッター・シグナルコンディショナーとiTアラームの組み合わせによるローカルプロセスで、プラントプロセス用コンピューターへ新たなデジタル入力を追加できます。多くの現場ではアナログ入力は限界だがデジタル入力が未使用の場合が多くあります。

24. iTシリーズモジュールはどのような認定がありますか?

iTシリーズ製品はCEマークでCSAに認定されています。適切なジャンクションボックスやバリア関連デバイスと一緒に追加認定の可能性もあります。

25. iTシリーズにはどのようなアクセサリーがありますか?

ウィルコクソン社ではアクセサリーとして、DINエンクロージャー、電源、TBUSコネクター、ヒューズ、カスタムケーブルを供給しています。次のURLでDINエンクロージャーやサイズや、どのTBUSコネクターが適切か、電源の詳細などが見れます。
https://wilcoxon.com/wp-content/uploads/2019/03/410_iT-accessories_web.pdf

26. iTシリーズモジュール12VDCのバッテリーでも動作しますか?

はい。より多くのフレキシビリティを持たせるためには、24VDC電源供給がトランスミッター・シグナルコンディショナーに必要ですが、 11~32VDCの範囲でも使用可能です。IEPEセンサーへの電圧は24VDC, ±5%となっています。

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